【沢登り】奥多摩 鷹ノ巣谷(1級)大滝を登りピストンで下降

目次

鷹ノ巣谷を大滝の上まで登って同ルート下降のお手軽山行

こんにちは、がくんちガクです。

11月の上旬、妻子は関西方面への旅行に出ていたため、今年最後の沢登りでもと思いアクセスの容易な奥多摩の沢へ単独で入渓してきました。シーズン中は割と入渓者が多いと聞く鷹ノ巣谷です。

体力勝負がしたかったわけではないので、途中にある大滝の登攀後は同沢を下降することにしました。

今回も文章と動画で記録を残したいと思います。

動画はこちら⇩⇩⇩

概要

【基本情報】

場所奥多摩 鷹ノ巣谷(1級)
ルート:東日原バス停付近の駐車場~鷹ノ巣谷入渓点~大滝~鷹ノ巣谷入渓点~駐車場
日程: 2023年11月5日
メンバー: 単独
天候: 曇り
装備: 下降用のエイト環、大滝の下降用に30メートルロープx2本、カラビナ2枚、120スリングx1、ハーケン2枚(使わず)、バイル(使わず)、捨て縄(使わず)

所感: 紅葉の時期だったため、落ち葉が舞っている様子が美しい反面、岩に積もっているのがそこそこ邪魔になった。苔の多い沢なので、フェルトソール向きだと思う。今回は渇水期での遡行だったが、水量の多い時期は結構大変だろうなと感た。1級の沢で初級者向けとされているようだが、初級者だけだと厳しそうな印象だったので、経験者同伴で初級者可ということかと思う。

【行動記録】

10:10 駐車場からアプローチ開始(東日原バス停付近)
10:45 鷹ノ巣谷出合から遡行開始
11:15 最初の堰堤
13:30 同ルート下降開始(大滝を登り懸垂下降を終えた後)
14:50 最初の堰堤
15:45 着替えまで完了(駐車場)

今回参考にした素行図が掲載された書籍(東京起点 沢登りルート100)【広告】

入渓前夜

朝の渋滞を嫌い、夜のうちに都内の自宅を出て奥多摩を目指した。仮眠場所(車中泊)に鳩ノ巣駐車場を考えていたので、そのすぐ手前にある古里のコンビニで夜食のカップ麺をすする。そこから鳩ノ巣駐車場まではほんの数分で到着。

鳩ノ巣駐車場には、秋の行楽シーズンのためか夜中でも10台以上の車が止まっていた。一人で気楽だなと思いながらも夜の駐車場はちょっと寂しい。再来週の週末は娘と登山という約束なので、どの山に行こうかとスマホで検索しつつ「そろそろ雪が積もってしまうかもな」と、明日の沢よりも娘との登山の心配をしながら缶ビールをあおった。眠気を感じて横になるとすぐに意識がなくなった。

アプローチ~入渓点

なんとなく目を覚ますと、駐車場はすでに8割ほどうまっていた。あわてて時計に目をやると、すでに9時半近く。連日の寝不足がたたり、完全に寝坊してしまったようだ。慌てて車を出し、30分ほどで東日原バス停付近の駐車場に到着。15分ほどで準備を済ませて出発したころには10時を少し過ぎていた。

駐車場から10分ほど歩くと、稲村岩経由の鷹ノ巣山への登山道入り口が姿を現す。この登山道は崩壊していて入山禁止となっているが、沢をピストンする予定の自分には関係ない。沢をつめてから尾根を下る人には若干の影響はあるかもしれないが、道迷いさえ気をつければ沢より危険なことはないはず。

入渓~序盤

登山道を下っていくと日原川にかかる巳ノ戸橋があり、橋を渡った少し先から日原川の河原へと下りる。この河原を数十メートル下ったところに鷹ノ巣谷の出合(入渓点)がある。入渓点で動画を撮影しつつ身支度をしている姿はさぞ滑稽だろうなと思いながら準備を進め、ヘルメットを被っていざ出発。

沢は奥多摩だけあって鬱蒼として苔むした雰囲気だが、11月ということもあって空気はカラッとしていて気持ちいい。渇水期なので水量も少なめ

しばらく進むとトイ状の滝が現れた。左岸側の水流脇を登ろうとしたが、ずいぶん悪いなと感じ、すぐに水流の中を進むことを考えた。手がかりが少なく、水流の中も滑りそうな脅迫観念があってなかなかに怖い。「増水時のこの滝は自信ないかも」などと考えながら、なんとかクリアした。

トイ状 4x5m
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104311.jpg

トイ状の滝に連続して構えているのがX字状の滝で、水流がX字を示すように流れている。この滝は簡単な登りなので、さっさとクリアする。横着して片手にカメラを持って撮りながら登ったところ、手振れがひどくて使えない素材になってしまった。当たり前だけど、両手で登れば簡単。

X字状 8x10m (地蔵滝)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104306-1024x698.jpg

しばらく進むとワサビ田の跡があり、淵を抜ける場所にやってきた。右岸側の土手を越えるような巻き道があるようで、トラロープが下がっているのを見つけたのだが、沢の様子からは巻く必要性を感じなかった。もしかしたら増水気味の時に必要なのかもしれない。

ワサビ田跡
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104315-1024x676.jpg

続いて2段目が堰堤になっている小滝が現れ、小滝の手前の右手側にはトラロープが下がっている。この淵の「へつり」が若干悪い感じがしたので、初級者がトラロープで巻くのかもしれないが、下降用かもしれないと考えて直進した。2段目の堰堤は右側から大きく周りこむのが正解だと思うが、気まぐれで直登して結構水をかぶってしまい、あまり意味のないルートどりをしてしまったと反省。

小滝と堰堤 手前の左岸にはトラロープ
   

中盤の連続する小滝

大滝を終盤の滝だと考えると、なんとなく序盤と中盤に分けることができそう。序盤はやや単調な登りが中心で、中盤はもう少し登りごたえのある個所が続くといった印象。

参考にした素行図に2mとある滝は、右手側の壁(左岸)を登ると残置ハーケンとスリングが2ヵ所ある。登りに関しては残置のお世話になる必要は無かったが(下りでは必要)、残置があったことでうっかり上を目指して高く登りすぎてしまった。少しクライムダウンしてから滝の上部を横断する。

少し登りすぎたからといって大した問題ではないが、できれば最初から滝の上部を右岸へ渡るつもりで照準を合わせたほうが「やっちまった」という負の感情を抱くこともない。

2m 右手側上部に残置あり
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104327.jpg

この3段の滝は難しくはない。素直に登れば問題なし。ここも片手にカメラを持って登ってしまったため、映像としては少ししか使えなかった。

3段10m
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104335.jpg

次に幅広な4メートルの滝が現れるが、初見は威圧感を感じた。よく見ると一番右手の岩溝のところに残置スリングが垂れ下がっている。岩溝部分がこの壁の弱点なのだろうから、スリングを使わずに岩溝を登るべきかなとも思ったが、天邪鬼な私は目の前の岩壁が登れるんじゃないかと考えてしまった。

壁にとりついてみるとやはり難しい。クライミングシューズならなんてことないのかなと思いながら、フェルト底で細かい凹凸に足を乗せ、指先を薄い溝にかけながら進む。

「これはデシマルグレード付けれるんじゃないか?(5.6か5.7くらいかな)」などと考えながら登ったが、それはそれで結構楽しかった(落ちなくてよかった)。

下降のことを考えてく必要があるので、残置の支点を確認してから先へと進んだ。

4m 幅広
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104340.jpg

右の岩溝には残置スリング
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104344.jpg

大滝(2段20m)

大滝は少し手前から視界に入り、そこから数段の小滝を抜けると大滝の下に到着。水しぶきが強いため、カメラを出すとすぐに水滴だらけになってしまう。あまり水がかからない位置を探して荷物を置きカメラをセット。

ここまで休憩なしで登ってきたが登る前に休むとリズムが崩れてしまいそうだったためすぐに登攀の準備にかかる。20メートルの懸垂下降が前提になるので、30メートルロープを2本つないで腰に結びバックロープを引く形にした。これはプロテクションのためではなく、あくまでもロープを運ぶため。ザックをデポして身軽な状態で左岸側の壁に取りついた。

この壁は途中にテラスがあって2段になっている。1段目の途中3分の1くらいのところで少し嫌な感じはしたが、特に問題ではなかった。1段目の上部にはしっかりした灌木があり、高度感が出てきたところに安心感を与えてくれる。

テラスは大部分が大きな水たまりになっていて、足を突っ込むと少しドブのような匂いがした。どっぷり浸かるのは避けたいので、下降時は気を付けようと思う。

2段目の壁はほぼ階段状。高度感はあるので、精神的なプレッシャーはあるかもしれないが登るのは簡単。岩が崩れないかを慎重に確かめながら登る。ひと昔前にアルパインルート(北岳バットレスの奥壁)の登攀中に手をかけた岩がすっぽり抜けて緊急入院したことがあるため、そういった経験が無い人に比べれば慎重なほうだと思う。

最後に上へ抜ける部分はわし掴みにできるガバが無く、両手カチ持ちの状態になるため、ちょっと嫌だなと感じた。カチ持ちでマントルするのは、すっぽ抜けるかもという恐怖心が伴う。実際はそこまでシビアではないが高度感もあるので怖い。

大滝は最初と最後が少し気持ち悪いと思ったが全体的に簡単
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104258.jpg 

登り終えるとすぐにロープを引き上げて支点の様子を確認してからセルフを取った。足場は安定しているので、このセルフは懸垂下降の出発時に間違えないようにするためのもの。支点の様子次第では木を利用して下降するつもりだったが、リングボルトの状態が良さそうだったので使わせてもらうことにした。下から引っ張った時に余計な摩擦がロープにかからないよう方向を考えながらセットする。

懸垂下降は何年振りだろうか(たぶん6年ぶりくらい)と考えながら体重をかける。久しぶりすぎて最初の数メートルはちょっと緊張したが、すぐに感覚を取り戻した。

下からロープを引っ張り下ろして束ねた後は、大滝を見上げながら行動食を食べながら休憩した。

終了点にあるリングボルトはしっかりしていた(2023年11月現在)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20231120104254.jpg 

同ルート下降

小腹を満たしたところで、早速、沢の下降を開始。2本あったロープのうち1本は取り出しやすいようにしておく。必要なところは確認しながら登ってきたため、リラックスした気持ちで下っていける。

合計2ヵ所でロープを出したが、3カ所出してもよかったかなと思った。それはスリングをつないでお助け紐的にして下りたところが、短くて下りるのに苦労した個所があったから。

成り行きでF1のトイ状の滝周辺は左岸側のワサビ田のほうから大きく巻いて下りた。下降にチャレンジは求めていないので安全第一でよい。

入渓点を素通りし、駐車場めがけて足早に進んだ。途中でボルダリングのクラッシュパッドを担いだ3人組を追い越して思い出したのだが、鷹ノ巣谷の出合から目を凝らせば見える距離の日原川の河原には、奥日原ボルダーの岩がある。後でトポを調べてみたら、3段とか4段の課題が並ぶ岩だったので、生きている間に間近で見ることはないなと思った。

最後に

あれだけ寝坊して遅いスタートでも16時前に戻ってこれるので、サクッと遊べるお手軽な沢だと感じました。今回と同様のピストンで、初心者・初級者のトレーニングを行う山岳会があるらしいですが、なんとなく理解できる気がします。

単独で入る沢は簡単なところに限っているものの、捻挫や骨折で動けなくなっただけでも惨事になりかねないので、お互い気をつけて楽しみましょう。最後まで読んでいただきありがとうございました。

ガク

★がくんち – Gaku’s Base★

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