【ガジェット】宅録りと動画編集のモニターヘッドホン ~ ゼンハイザー HD25とHD 25 Lightをレビュー

目次

宅録りと動画編集に使うモニターヘッドフォンを考察

こんにちは、がくんちガクです。

今回はモニターヘッドフォンであるHD 25HD 25 Lightの比較記事を書いてみた。

突然の気まぐれで、ゼンハイザーHD 25 Lightを購入したのはつい先日のこと。先の海外遠征(ユーコン川下り)でたまった大量の動画データを編集するのに今までのタブレット編集では対応できなくなり、新たにマックブックを購入したことで、手軽に持ち運べるて信頼できるヘッドフォンが欲しくなったのだ。あくまでも動画編集が目的のため、有線(ブルートゥースではないもの)のものを優先したのと(理由は後述)、もともとゼンハイザーの名機HD 25を所有しており、自宅でのナレーション収録(いわゆる宅録り)では絶対の信頼を寄せていたため、それと同じドライバーを搭載しているというHD 25 Lightの性能は微塵も疑っていなかった(そして興味があった)。

実際に購入してみると、いくつかのディティールの違いに思うこともあったため、レビュー記事として執筆しておきたい。HD 25かHD 25 Lightかと迷う人はそう多くはないかもしれないが、宅録りと動画編集、そしてDJの用途に対しても情報源になると思う。

(※ 記事内に楽天や公式販売サイト等の広告あり)

HD 25 Light 

ヘッドフォンの利用目的

ヘッドフォンというと、普通は楽曲を聴くためにというのが大多数の購入目的だろう。そして、そこには数えきれないほどの商品が存在する。そもそも音の好みというのは食事に対する味覚と同じで、大まかな方向性は分かっても、その人の舌がとらえた詳細な味とその嗜好性についてまでは分かり切らない。高級フレンチがうまいのは分かるが、牛丼もカレーライスもホルモン焼きもうまいし、ファーストフードのハンバーガーだって健康に気を使わなければ結構食べられる。

なので、普段使いでは「なんかいい音だなぁ」という程度しか感じないB級グルメファンでも良いと思うし、私の場合はそもそも普段以外の使い方をしない(超高級オーディオ機器を持っていない)。同時に、高級レストランに通う高揚感というのも理解できるが、私のような素人が論じてはいけないことも承知している。

しかし、モニターヘッドフォンというと事情が違う。モニターヘッドフォンは、嗜好性とは異なる部分が重要で、それはいかに正確に細かい音まで再現できるかということに尽きる。モニターにつかうシチュエーションは色々あるが、私のつたない想像力で思いつくのは、楽器の演奏や歌を録音したり演奏したりする際の用途、音楽以外の音声(ナレーションなど)を録音する用途、そして音楽編集や動画編集などの編集作業をする際の用途である。

私は演奏や歌の録音の用途では使用しないため、ナレーションの録音と動画の編集作業に限ってのレビューになるが、そのあたりの意見を聞きたい方には得に参考になるかもしれない。

有線か無線か ~ 愛用のヘッドフォン達

モニターヘッドフォンは通常のヘッドフォン同様に有線と無線(ブルートゥース)があり、有線が主流である。通勤で楽曲を再生して楽しむには圧倒的に無線が便利だが、モニターという用途を考えると有線のほうが有利になる。もちろん、こだわりにユーザー達は、音質劣化や音飛び、タイムラグなどの観点で、楽曲再生ですら有線じゃないと許せないという方々もいるが、音質はさておき、音飛びやタイムラグはモニターの場合は致命的になってくる。

今までタブレットで手軽に動画編集をするスタイルに合わせ、無線式であるオーディオテクニカATH-M20xBTを愛用してきた。無骨で大きいので持ち運びはしやすくはないが、軽いし素直な音で聞きやすい。私自身、キッチンで料理しながらスマホでNetFlixを見る際にもこのヘッドフォンを愛用するなど普段使いがしやすく、アマゾンでも圧倒的な販売数を誇るモデルである。

動画編集の際は、若干だが再生レベル(音量)が低めになるのと、やはり随所でタイムラグ(例えば動画にテロップを入れる際の音声とのずれ)が起こる。そこで、外出先で編集したものを、内臓スピーカーか有線の安物イヤフォンで最終調整するというスタイルでやってきた。このATH-M20xBTは、実はコードをつなげて有線化することも可能だが、今までそれをやろうと思わなかったのは、単純に必要性を感じなかったからだろう。

ATH-M20xBT

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もう一つとても気に入って愛用しているのがMarshall Major IVで、過去記事にも掲載してる(👉こちら)。このヘッドフォンはモニター用ではなく、通勤時などの楽曲再生用で、パワフルな音には満足しているが、動画編集で利用すると音にエッジが効きすぎてしまい、全体の音量バランスなどが分らなくなってしまう。そして無線なのでタイムラグも起こる。そもそも利用目的が違うので、ヘッドフォンに自体に問題はないのだが、モニターに限定すると二軍落ちしてしまう。

がくんちブログ
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続いては有線式のゼンハイザーHD 25で、宅録りで愛用している。有線なのでタイムラグは無い。名機と謳われ多くのDJ達が愛用しているモデルと聞く。細かい音まで正確に再生するのが宅録りでは特に重要で、このヘッドフォンにしてからというもの、リップノイズ、ブレスノイズ、ポップノイズといった、呼吸や唇などが起こす細かいノイズを聞き分けることができるようになり、録り直しやカットにより大幅にノイズを軽減することができるようになった。もちろん素人なので完璧ではないが、おそらく不快なレベルのノイズはそれほど残っていないと思う。遮音性が高く音もクリアだし、軽量で首も疲れない。使っていて細かいところが色々と親切だと感じているので、それはHD 25 Lightとの比較のところで紹介したい。

HD 25

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ちなみに、通常だと宅録りで最有力候補となり得るのはMDR-CD900ST(SONY製)だと思う。プロ声優の誰もがお勧めしているし、スタジオ録音でも日本では圧倒的シェアを誇っているモニターヘッドホンだ。しかしひねくれものの私がMDR-CD900STを選ばずにHD 25にした理由は、MDR-CD900STの実物を手に取った際の「重いし、なんかダサい…」といった直感的な印象だった(SONYさんゴメンナサイ)。結果的にHD 25を手にしたことにとても満足している。そもそも私の用途ではSONYでもゼンハイザーでも十二分の性能を備えているため、結局は好みの問題でしかないわけだが…

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HD 25とHD 25 Lightを比較

ゼンハイザーのサイトには、「HD 25 は非常に軽量で、長時間の装着も快適。DJ ヘッドホンとして「業界のスタンダード」となったこのヘッドホンは、大小を問わず世界中の DJ ブースでその姿を見ることができます。軽量であること、そして片耳で使用できることから、HD 25 のヘッドホンは動きながらのモニタリングには欠かせません。… 」と書かれており、DJシーンでの人気をうかがわせる。

一方、HD 25 Lightについては 「… HD 25 Lightは、ミニマル(無機質)なデザインを維持しながらも、ピュアなサウンドを実現しています。(中略)非常に快適な装着感を実現したミニマルなヘッドバンドとユニークなカプセル型デザインが魅力の、HD 25 よりもお手ごろな価格の製品です。… 」とあり、HD 25の廉価版であることを匂わせていて、その差は約7,000円ほどもある。(2024年6月現在)

以下に商品紹介等から拾ってきた情報を並べてみた。同じドライバーが使用されているとのことで、並べた数字も重量以外は全く同じである。ちなみに2016年当時の古い情報も見かけたのだが、その頃はHD 25 Lightのインピーダンスは60Ωで周波数特徴や感度も若干異なっていた。その後、ドライバーが統一されたようで、2020年のリニューアル以降には全く同じ紹介されている(いつ統一されたかは不明)。ケーブルも3mから1.5mへと変更されたようで、この1.5mというのが私の用途では絶妙でありがたい(目の前のPCにつなぐのに3mのケーブルは邪魔でしかない)。

HD 25とHD 25 Lightの仕様比較👇

HD 25

■型式:ダイナミック・密閉型
■周波数特性:16~22,000Hz
■インピーダンス:70Ω
■ケーブル長:1.5m(右側片出し)
■プラグ形状:ステレオミニプラグ(L型)
■本体重量:約166g
■感度:120dB

HD 25 LIGHT

■型式:ダイナミック・密閉型
■周波数特性:16~22,000Hz
■インピーダンス:70Ω
■ケーブル長:1.5m (両出し)
■プラグ形状:ステレオミニプラグ(ストレート)
■重量:約130g
■感度:120dB

Sandal AudioさんのHD 25に関する2020年8月の記事(👉こちら)を見つけて読んでみたのだが、2016年のルーマニア工場への移転に伴い、ドライバーが統一されたのではないかと書かれていた。そうすると2016年から生産に着手した製品が世に出始めた頃だと想像するので、多分2017年頃のディストリビューションから統一されていたのかもしれない。ちなみに2020年のリニューアルはパッケージだけでなないかと想像しているが、まぁどうでもいいことなので深くは追及はしない。

あわせて読みたい
ゼンハイザー HD25 ヘッドホン(2020年版)について オーディオ機器、ヘッドホンなど
音については、マックブックでの動画編集とナレーション録音に両方のヘッドフォンを使ってみたが、正直なところ違いは感じなかった。最初はHD 25 Lightの方がやや硬めの音がするように聞こえたのだが、繰り返し注意深く聞いてみると気のせいだったかもしれないと思った。新品で硬かったからということも言えるし、ヘッドバンド構造などのディティールが異なることで、感じ方が違っただけという可能性もある。ネット上では、HD 25と比較してLightのほうが「音楽的な鳴りっぷり」というレビュー記事と書いている人を見かけたが、記事の対象がドライバー統一後のモデルかどうかは定かではない。とにかく、宅録りと動画編集に関して言えば、明確な違いを感じることができなかった
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ディティールを比較

それではいくつかのディティールを見ていく。良し悪しというより好みの問題がほとんどで、本質的な機能性が異なるということもない。まず下の写真はヘッドバンドを上から見たところ。HD 25とHD 25 Lightではヘッドバンドの形状と印字が異なるが、70Ωの記載は共通している。
どちらも遮音性の高さゆえの側圧が強さを感じるのだが、HD 25 Lightのほうがヘッドバンドの硬さを強めに感じた。ただHD 25も最初は「強いかな?」と思ったので、新しいからかもしれない。HD 25は購入してしばらく経つので頭に馴染んでいるが、HD 25 Lightの幅広な一枚板ヘッドバンドが頑固だった場合には、馴染むのに時間がかかるかもしれない。昨晩、HD 25 Lightを宅録りで1時間以上着けていたが、それほど気にならなかったので慣れの問題もあるだろう。
 
ヘッドバンドに取りつけられているクッション材は明確に異なる。そもそも軽いヘッドフォンなので、クッション性の恩恵を受けることはあまりないのだけど、Lightに貼り付けてあるウレタンフォームの安っぽさは否めない。それにしても、質感や構造は数千円程度の会議用ヘッドフォンにしか見えないLightなのに、この音質は驚異的だ。

HD25 イヤーパッドと同じ素材

Light ウレタンフォームが貼ってある

ケーブルが片出しと両出しとで異なる。両出しだからと言って、装着した状態で特に邪魔になることもない。着けたり外したりを頻繁に行う場合は邪魔になるかもしれないが、通常の動画編集作業では長時間装着したままが多い。ちなみにケーブルの根本が赤色になっている方が右耳側であり、HD 25の片出しケーブルは右耳側に来るのが正しい。一般的に有線ヘッドフォンのケーブルは左耳に来るが、HD 25は反対なので気をつけよう。
 
イヤーパッドとハウジング部分の質感に違いは見られない。しいて言うならケーブルが片出しが両出しかという違いにより、ハウジングの上下が反対に組み上げられているという程度。

イヤーパッドとハウジングは両製品とも同じ

左のHD25と右のLightでハウジングが上下逆

仕様上は重量差が36gあるので、ウイスキーのワンショット以上違うということになるが、私の極太な首ではその程度の重量差を感じることは不可能。HD 25のヘッドバンドは真ん中で開く(割れる)ため頭への座りが良く、このおかげで重量を感じないともいえるが、そもそもどちらも軽い。個人的にはヘッドバンドを開いた時のHD 25の装着感はけっこう好きだ。

HD 25は写真のようにヘッドバンドが開閉する

HD25のもう一つの機能面の特徴は、左耳側を屈折させることができること。これにより片耳だけでモニターすることができる。DJ用としては便利な機能だが、宅録りには不要だろう。動画編集で言うと、自宅で家族が身の回りにいると急に話かけらるため、それほど集中しなくてよい作業の時には片耳を開放することがある。これもヘッドフォンをずらせば済むので、必須ではない。

左耳を90度未満ほど曲げられる

PCなどの機材につなぐプラグは、HD 25はL字タイプ、HD 25 Lightはストレートタイプ(写真の中央は付属品の6.3mm変換アダプター)。付属品なので多分交換できるだろうが、最初に組まれているプラグはなぜか異なるタイプ。最新モデルはどちらもケーブルが1.5mなので、宅録りと動画編集では丁度良い長さである。3mのものもあるようだが、最新パッケージかどうかは不明(どちらにしろドライバーさえ統一後ならいいと思う)。
L字タイプとストレートタイプのプラグをそれぞれPCに接続した様子。人それぞれ感じ方は違うとは思うが、私の場合は、ストレートのほうが広いスペースに干渉していると感じる。もちろん、L字のほうが邪魔だと感じる人もいるかもしれない。
 
実際にマウスを置いてみたところ。カフェの狭いテーブルで作業することも多いので、マウスを動かさないトラックボール式のマウスを愛用しているのだが、ストレートプラグだと収まりが悪い気がする。余談だが、何年か前にストレートプラグを指したPCの画面を開いたままオフィス内を移動したところ、背の高いデスクの角にプラグをぶつけ、接合部が割れた上に液晶画面も半分写らなくなるという事故を起こした。それ以来、飛び出したプラグがトラウマなのだ(完全に個人的な理由)。
 
写真(下)のオーディオインターフェイスはコンデンサーマイクに電源供給しながらPCへの音声インプットを可能にするもので、宅録りには必須の機材。ストレートプラグを挿してみたが、そもそも自宅に据え付けの機材だし、他のプラグも突き出しているので違和感ない。

オーディオインターフェイス

結論

私には狭いデスクやカフェテーブルという前提があるため、最初からL字プラグになっているHD 25のほうがありがたい。ヘアバンドを開いた状態での装着感も好きだし、片耳を開けておけるのも急な家族の愚痴を聞くことができて助かる(決して聞きたいわけではないが、聞かなかった時の女房の反応が怖いだけである)。そんなわけで、宅録りのオーディオインターフェイスにHD 25 Lightを繋ぎっぱなしにして、マックブックの友としてはHD 25を持ち歩くことにした。あくまでも私の感覚ベースの意見であるため、HD 25 Lightを好まれる方もいるだろうし、そもそも同じ音質に対して7,000円の差は大きいだろう。たまたま両方所有してしまった私の気まぐれレビューなので、お好みで選ばれたら良いと思う。
ちなみにDJ用として使用する場合、比較対象の音については言うまでもないだろうが、ヘッドバンドを広げて安定させられることと、片耳にできることの理由でHD 25が適切だろうと思った(30年近く前にターンテーブルを所有していた身としては)。ただDJブースの状況によっては1.5mというケーブルは短いかもしれないため、別途3mのケーブルを購入するか、最初からHD 25 Plusというモデル(ヘッドフォン自体はHD 25そのものだが、ケーブルなどの付属品が多いパッケージ)を購入されるのがよいかもしれない。
今後も面白いものを購入したらレビューしてみたい。それではまた別の記事で会いましょう。
★がくんち – Gaku’s Base★
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