テスリン川~ユーコン川の370kmを振り返る
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本ブログ記事はこの動画(Ep.10 反省会)に関連しています👇
ユーコン編(本編①)の記事はこちら👇
Carmacksで反省会を収録
テスリン川へと漕ぎ出したのは8日前の夕方のこと。370kmという長旅を経てたどり着いたCarmacksのオートキャンプ場で最後のテント泊の準備をした我々(ガク、みやちん、やまとさん、あっちゃんの4人)は、本格的な宴会を始める前に「反省会」を収録することにした。ビール片手の座談会では話がとっ散らかるばかりだろうということで、以下のトピックに軸を置いて意見を出し合ってみた。ユーコン川を目指す方の参考になれば幸いである。動画の最後に収録してある「現地ガイドとの立ち話」は、旅の答え合わせ的な会話としても参考になると思う。
- 持ってきたけどいらなかったもの
- 持ってこれば良かったもの
- 持ってきて良かったもの
- 怖かった思い出
- 良かった思い出
- 最も印象的だったこと
持ってきたけどいらなかったもの
荷物を削らなければならないカヤックの旅と違い、大量に載せられるカヌーだったからこそ、余るほどの物を持ち寄ったわけだが、その中でも特に無駄になったと感じたものは以下の3点に議論がまとまった。
- 沢山の着替え
- モバイルバッテリー
- 歩くための靴(トレランシューズ)
まず「着替え」だが、下着に関してはメリノウールを筆頭に、アウトドア用の消臭力のある下着(モンベルのジオラインなど)を持参していたため、何日かに1回履き替えるという程度(たぶん女性はもっと頻繁だったとは思う)。ミドルウェアやアウター(レインジャケット)に関しては、出発からゴールまで同じものを着っぱなしだった。女性陣は睡眠用と行動用の2着で足りたということだったが、ガクに関しては睡眠と行動で衣類を分けなかったため、持ってきた着替えはほぼ無用の長物となった。ただしダウンジャケットなどのキャンプ地用のアウターは必須。ちなみにガクの場合は、6月の寒さと沈した場合とを考慮して、カヌーに乗っている間のインナーはネオプレーン素材のタンクトップとハーフパンツを着用していた。他のメンバーは沢登りに使うドライインナーや登山用のメリノウールなどを使用していたらしく、人によって様々だった。
「モバイルバッテリー」に関しては、動画用の撮影機材のために大量のバッテリーを持参しており(ガクの場合)、おそらく70,000mAh程度のモバイルバッテリーに加え、各カメラの予備バッテリー3~6個(カメラによる)はあったと記憶している。アクションカメラのバッテリーが4~5本空になったのを再充電したのと、スマホのバッテリーを2~3回充電した程度だったため、おそらく30,000mAhも使っていない。他のメンバーはさらに機材が少なかったため、20,000mAh程度で足りていた様子だった。ただ破損等があるといけないので、容量の大きなバッテリーを1つのみという用意のしかたはあまりお勧めしない。そもそも単体の容量が大きすぎると飛行機で没収される。
「歩くための靴」というのは、ガクは出発時に置いてきたので感じなかったが、念のために持ってきた他のメンバーは全く使わなかったと言っていた。長靴で行動できない範囲を歩くことがなかったというのが実態である。
上記以外にも白夜だったことによって使わなかったランタン(ただしヘッドランプは必要)と、蚊の大発生前だったことによるモスキートネットなどが不要だったものとして挙げられた。
持ってこれば良かったもの
持ってこれば良かったとは、裏を返すと持ってきたものでは具合が悪かったということでもあり、今回の意見も綺麗に「後悔」の現れとなっていた。
- 長靴
- 指先まである手袋
- 縫い目が邪魔にならない下着
「長靴」に関しては必須と言える。ソロトレッキングのために他のメンバーに先んじてホワイトホース入りしていたやまとさんが、荷物になる長靴を嫌ってダイビング用のマリンシューズを持参していた。実際に漕ぎ出してみて気付いたことだが、カヌーで着岸/離岸する際にはほぼ毎回水に足を入れることになる。やまとさんは、その度に足に浸水して冷たい思いをしたそうだ。現地で購入するという手もあるが、勝手の分からない地ではそう単純にはいかない場合もある。やまとさん以外のメンバーは、ガーデニング用または田植え用の長靴を用意した。これは軽くて折りたためるため都合がよい。ふくらはぎが太い人には合わない商品もあるので注意して選ぶ必要がある。ガクのふくらはぎはかなり太いため、注意深く探した結果として写真(左)の長靴(福山ゴム社製のノーカーズ)を使用した。写真(右)はみやちんの田植え用長靴だが、フィットする形状のため沈した場合でも水中で脱げにくいかもしれない。もう一つの注意点は、必ず膝まである長靴を選ぶこと。
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「指先まである手袋」というのもけっこう重要。初心者として野尻湖や犀川で練習した際は素手だったため、長距離漕ぐ場合はグローブが欲しいと各自が感じていたらしい。特に申し合わせてもいないのに全員がグローブを持参していた。ただし、みやちんとあっちゃんの2人は、沢登り用と釣り用して売られているフィンガーレスタイプ(指出し)のものを持参しており、そのせいで指先の過度な乾燥によるひび割れなどといった不快な思いをすることとなったようだ。やまとさんはアンバサダーとして提供を受けたグローブで商品名は不明だが、指先だけが外せる(脱げる?)構造となっており、それはそれで快適だったとのこと。そのグローブはFoxFire社製ということを考えると、おそらくは釣りを意識したグローブだと思われる。ガクはモンベル社製でクリマプレンという素材で作られたライトクリマプレングローブとパドリンググローブという2つのパドリング向けの商品を持参しており、ほとんどの場合でライトクリマプレングローブを利用していた(極端に寒い時だけ中厚のパドリンググローブを使った)。個人的にはこのクリマプレンという素材のグリップ感が素肌に近くて逸品だと感じた。
「縫い目が邪魔にならない下着」というのは、パンツの縫い目がカヌーに座っている間に肌に擦れて痛かったという体験によるもの。持参するパンツをボクサータイプにするか、シームレスなブリーフタイプにするかなどの工夫が必要かもしれない。同様にグローブの縫い目も気になる人には気になるだろう。
持ってきて良かったもの
これに関しては意見が分かれるところだが、最終的には以下のようにまとめた。
- ブルーシート、カラビナ、紐
- ダウンパンツ
- シャワーシートや体ためのグッズ
まず「ブルーシート、カラビナ、紐」に関して言えば、沢登りの必須アイテムなので、当たり前のように持参したものだが、やはりなくてはならない筆頭として挙がってきた。下に敷いたり屋根や風よけを作ったりと大活躍してくれた。
「ダウンパンツ」は時期によるかもしれないが、夏でも風が吹くとかなり寒いと聞くので、かさ張らないダウンパンツはあったほうが良いと思う。我々が旅した6月は必須アイテムだったと言える。メーカーから提供を受けたやまとさん以外はアマゾンで6,000~7,000円程度の安いものを探したが、この記事を書いている今現在(2024年12月)は、円安の影響か人気の影響か9,000~10,000円ほどに値上がりしていた。
「シャワーシートや体のためのグッズ」とは、各自が自分の体の弱点を補うための商品であり、シャワーシートは濡れタオルでも代替できるものの、女性がテント内で手っ取り早く体を拭くには適しているのだろう。ただし熊を警戒して無香料タイプにすること。やまとさんは腰が心配で腰サポーターを持参していたし、ガクは肩こりが心配でエアピロー(空気枕)にウレタンが入ったタイプの大きな携帯枕を持参した。この枕は通常のエアピローに比べれば大きいが、カヌーに載せるだけなので気にならない。快眠できたので大いに助かったと感じている。
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上記以外には、防水の帽子や300円の折り畳みバケツが挙がっていたのと、忘れてはならないのが「だしパック」である。高橋商店から提供いただいた「やすまるだし」を大量に持参したが、本当に便利で、キャンプ場で一息つく際にはかならずだしを飲んでほっこりできたし料理でも大活躍だった。今後はいかなるアウトドア系トリップであっても必ずだしを持参したい。ただし、だしを煮出す臭いが熊をさそうかどうかは検証できていない(たぶんいかなる匂いも熊を誘うとは思うし、だしの匂いはさぞ美味しそうなことだろう)。ユーコンでの宴会は自己責任でお願いします。
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怖かった思い出
怖かったことは随所にあったが、人それぞれ感じ方も違うし、2艇のカヌーそれぞれに体験したことも違う。最初に発言された3件に順位をつけて以下のようにまとめた。
- 突然の強風
- 初日の夜
- 腕がもげそう(体のダメージ)
「突然の強風」は未知の体験だったため緊張した。これについてはユーコン編の8エピソード目の動画(リンク👉【ユーコンカヌーEp.8】)をご覧いただければと思う。正直、あんなふうに天候が変わってしまうのは想像していなかったためにかなり驚いた。
「初日の夜」と「腕がもげそう」の2点は、未経験のことばかりで先の見通しが立たないことへの恐怖とも言える。初日は随分と無茶な進軍をしてしまったため(リンク👉【ユーコンカヌー Ep.2】)、真夜中にブッシュでステーキを焼くという愚行に走り、暗闇も相まって動物への恐怖心が勝手に膨らんでしまった。腕がもげそうというのはやまとさんの個人的な意見だが、これも初めての痛みに対してこの先7日間にも及ぶ痛みの継続を勝手に想像してしまったことへの恐怖であろう。おかげで旅は楽しかったわけだし、 怖いといってもFearというよりThrillだったと言える。
良かった思い出
正直、良かったことだらけの今回の旅だったのだが、各自感じ方も違う中でまとめてみると以下の通りとなった。
- キャンプ場の夕日
- ポジションの交代
- 変わらない景色
「キャンプ場の夕日」とは、テスリン川の最終キャンプで見た夕日のことで、全行程の中間地点にしてユーコン川合流の直前あたるという絶妙な位置付けのキャンプ場で、水面一杯に反射した真っ赤な夕日を眺めながら過ごす時間は何物にも代えがたいと感じた。この奇跡のキャンプ場の様子は是非動画でご確認いただきたい(リンク👉【ユーコンカヌー Ep.5】)。
「ポジションの交代」というのはあっちゃんの意見だが、バウマンとスタンマン(船首と船尾の漕ぎ手)を交代してみたところ、お互いの役割や苦労を理解できたということで、とても良い体験だったという話である。船尾側のみやちんを不満に思っていたあっちゃんが、その難しさを理解した時に素直に「ゴメン」と謝ったという笑い話があった。いい大人がこうやって新たな発見をしていくのは良いことだと思う。
「変わらない景色」というのはみやちんの意見で、ユーコン川に合流してからの話なのだが、いつまで漕いでも変わらない景色に悠久の時を感じたという。みやちんがロマンチスト的なのか哲学者的なのか分からないが、同じ景色に飽きていた中年のガクとやまとさんにとっては新鮮意見だった。
上記以外には、「仲間と来れたこと」と「ノーザンパイク」が挙がっていた。普段は一人旅でアーティスト活動をしているやまとさんが、今回は仲間とワイワイやりながら旅ができたことを素直に楽しんだ(そのかわり絵が描けなかった)という話と、ガクが偶然ノーザンパイクを釣り上げしまって大騒ぎした(リンク👉【ユーコンカヌー Ep.7】)という話である。
最も印象的だったこと
「最も印象的だったこと」では、具体的な事象が挙げられるかと思いきや、意外と抽象的な意見で全会一致となった。それは、「初日」というもの。テスリン川に漕ぎ出した最初の日を意味するが、確かにこの日のすべてが我々の想定を超えており、イマジネーションと現実とのチューニングに最も体力と神経を使った日だった。つまりすべてが新鮮だったということが、最も印象に残った理由だろう。
具体的にどんな会話だったかは、動画をご覧いただければと思う👇
まだ本編記事の執筆が途中だというのに、書きやすさを理由に先に反省会の記事をまとめてしまったことに若干の背徳感を感じるが、そんなことは忘れて家族とゆっくり過ごしたいと思う。今日はクリスマスイブだ 🎅
★がくんち – Gaku’s Base★
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